新耐震基準は、中規模地震に加え大規模地震を想定しています。

基準法の想定震度

耐震の基準」で述べてきたとおり建築基準法は
「中規模の地震動でほとんど損傷しない」ことと、
「大規模の地震動で倒壊・崩壊しない」レベルの耐震基準を求めていますが、
ここでいう「中規模の地震動」「大規模の地震動」とは、どの程度のことをいうのでしょうか?

 

この点について、建築基準法は明確な基準を定めていません。

 

しかし、国土交通省のホームページを見ると、

「中規模の地震動」とは「震度5強
「大規模の地震動」とは「震度6強~震度7

度だとされています。

 

 

この基準は、どのような考え方によって決められたのでしょうか?

建築基準法の目的は「国民の生命、健康及び財産の保護」を図ることです。

 

そして、「財産の保護」が目的に含まれている以上、本来であれば、どのような地震に対しても建物自体に損傷がほとんどないようにすることが望ましいでしょう。

 

地震イメージ

しかし、震度5強の地震は、「数十年に一度程度」発生するものだといわれているのに対し、震度6強以上の地震は「数百年に一度程度の頻度」で発生するものだといわれています。

 

震度6強の地震に対し、ほぼ損傷のない構造の建物を構築しようとすれば、極めて多額の費用を要します。
起きる頻度が極めて稀な地震を想定し、そのような一律に求めることは、極めて不経済だといえます。

 

そこで、建築基準法では、「財産の保護」という点については、両者のバランスをとりつつ、他方で最も大事な法益(法律が保護しようとする利益)である、「生命・健康」については、そのような稀に発生する頻度の地震に対しても、保護されるようにしているのです。

 

実際、震度6強から7程度にもなった、阪神淡路大震災においては、旧耐震基準による建物の倒壊が圧倒的に多かった反面、新耐震基準により建築された建物は、比較的被害が少なかったと言われています。

 

ただし、建築基準法の想定震度は、あくまで「想定」であり、新耐震基準を満たせば必ず想定される震度に応じた安全が確保されるわけではないことには注意が非必要です。

 

実際、国土交通省の外郭団体による実験では、新耐震基準を満たす木造住宅であっても、阪神・淡路大震災レベルの地震で倒壊するおそれがあることが指摘されています。