連載「○○×橋本直征」 天童木工PLY×橋本直征 interior(n)interview Vol.1

「インテリアの世界で『天童木工』を知らない人はいないと思いますよ」と橋本氏。
確かに柳宗理デザインの "バタフライスツール"など、インテリア好きの人なら一度は目にしたことのある家具が並んでいる。

そんな彼と天童木工PLYの出会いは、ある雑誌の仕事がきっかけだったという。『天童木工』のオフィシャルショップとして店を構える、天童木工PLYのストアマネージャー田邊さんとともに、ショップのこと、家具の持つ歴史のことなどについて語ってもらった。

interior(n)interview 『天童木工』そのものが、家具ジャンルのひとつである

天童木工PLYの特徴って何ですか?という問いに、「他に似たようなショップがないってところだと思います」と橋本氏は答えた。

そもそも天童木工では、柳宗理や長大作、ブルーノ・マットソンなど、多くの著名デザイナーが手がけた名作家具をはじめとする、私たちの暮らしに身近なホームユース家具のほか、公共機関等の施設で使われる、椅子や棚などコントラクト家具も多数扱っている。「さまざまな場所で使われているので、皆さんも気づかないうちに一度は目にしたことがあるはずですよ」と、天童木工PLYの田邊さんは話す。

そんなたくさんの天童木工の家具の中から、天童木工PLYでは主にホームユースのものをピックアップし、PLYオリジナルの商品やテイストを加えて販売している。いわば、天童木工ブランドのセレクトショップである。昔ながらの和室スタイルに合うような座椅子や座卓、北欧家具をイメージさせるソファ、スツールなど、バラエティに富んだラインアップだ。このようにさまざまなテイストのラインアップが揃う家具ブランドは、他にはなかなかないのだと橋本氏は話す。"他に似たようなショップがない"という彼の言葉はこういうところから来ているのだろう。そして彼はさらにこう続ける。

「『天童木工』そのものが家具のジャンルになっていると思うんですよ」

和、アジアン、北欧...という家具の一般的なジャンルに収まらない、"天童木工テイスト"という新たなジャンルがここから発信されているのである。

interior(n)interview 天童木工PLYと駒沢のつながり

『天童木工』の創業は、1940年のこと。産業と戦争のつながりが深かった時代だ。その頃の天童木工の様子を、田邊さんはこう語る。

「創業した頃は戦時中だったため、戦争に役に立つ弾薬箱やおとり飛行機などを作っていたそうです。そして戦後になってから"PLYWOOD(プライウッド)"技術を使った家具作りが始まり、現在天童木工を代表する家具が次々と誕生しました」

日本の高度経済成長期は、天童木工においてもめざましい発展を迎えた時期に当たる。バタフライスツール、低座イス、ロッキングチェアなど、今や"天童木工の名作"と呼ばれる家具たちが、この頃考案され製品化されたのだ。


その発展を大いに助けた"PLYWOOD"とは薄く切り出した板を幾層にも重ね作られる成形合板のことである。加工がしやすく強度も優れているPLYWOODは、デザイナーたちが考案するデザインを見事に実現させ、ユーザーにとっても使いやすい家具をたくさん生み出した。

そして1960年代に入り、東京オリンピックの頃。天童木工はデパートにも置かれるようになり、ますます世間に広く知られるブランドとなっていった。 「今、天童木工PLYのショップがある駒沢公園周辺は、東京オリンピックの頃、開発が進んだ地域です。庭があるような一軒家が多く建ち、その家に置きたい家具として天童木工の家具を選ぶ方も多かったようです。実際に当時天童木工の家具をご購入くださった方が、今でもショップ近辺に多く住んでいらっしゃるんです。駒沢にショップをオープンしたのは偶然でしたが、すでにこの地で多くの天童木工の家具が愛用されていたことは、うれしいことですね」 と田邊さんは話す。

天童木工の家具と駒沢。これまでにそれぞれが持つ歴史が、天童木工PLYを通してひとつになったのではないだろうか。

interior(n)interview おじいちゃんと孫が一緒に買い物できる店

対談の最後に天童木工PLYならではのことって何でしょう?と尋ねてみた。返ってきた答えは...「おじいちゃんと孫が一緒に買い物できる店」。

田邊さんはそう答えたわけを聞かせてくれた。 「たとえば、かつて天童木工の家具を購入して、今でも使い続けてくれているおじいちゃん世代には家具を新調するかたちで、そして天童木工のことは知らないけどバタフライスツールは見かけたことがあるというようなお孫さん世代には、まず最初のひとつとしてスツールをというかたちで、世代を超えて一緒に買い物を楽しんでいただけるお店なんじゃないかなと思います。時間や思い出を共有できる、そんな場所になるといいですね」

家具が誕生した歴史、使ってきた人の思い出。「家具を買うということは、その家具ひとつひとつに刻まれているエピソードを手にすることでもあるのではないでしょうか」 そんな田邊さんの言葉がとても印象的だった。

「気に入ったテイストに合わせてインテリアをまとめるのもひとつだけれど、そのインテリアが誕生した時代で家具などを統一するという楽しみ方もあるんです」 今回天童木工の家具を通して、橋本氏からインテリアの嗜み方を教えてもらった。

「天童木工テイスト」という家具の新たなジャンル。 天童木工PLY

天童木工PLY
東京都世田谷区深沢4-35-7 深沢ビル2F
tel: 03-5758-7111
http://www.tendo.ne.jp/ply
営業時間:11:00〜20:00
定休日:第2・4水曜定休

今回お話をうかがったのは...
ストアマネージャーの田邊 睦実さん

今回ご紹介したエピソード以外にも、天童木工の家具についてたくさん聴かせていただきました。家具についての知識ももちろん豊富な田邊さん。「家具の説明をし始めると、ついつい話過ぎちゃうんですよね〜」とおっしゃっていましたが、その家具が好きだからこその熱意が伝わってきます。
ショップを訪れた時には家具を見るだけでなく、ぜひそのエピソードも聞いてみるとおもしろいと思います。天童木工家具のファンになってしまうかも...!?

また、天童木工PLYには犬のメープルこと「メイちゃん」がいます。なんと彼女はこのショップのPRマネージャー。取材にうかがった際、もちろん名刺交換させていただきました♪

ショップに訪れるお客さんをかわいいしぐさでもてなす様子は、さすが名広報部長!(笑)
お客さんをすっかりトリコにしてしまうキュートさが魅力です。

橋本直征氏 プロフィール

2004年よりインテリアスタイリストとして、主に雑誌、広告、TV-CFなどの分野を中心に活動。
また、ミュージックヴィジュアルやメーカーのディレクション等も手掛け、その活動は多岐にわたる。
http://naoyuki-hashimoto.com/

橋本直征 写真展
『Chairs 〜インテリアスタイリストが写し出す、100脚の椅子〜』
椅子を撮り続けるスタイリストが写し出す、日常にありふれた、けれど、ここでしかみることの出来ない椅子とその世界観を、100脚それぞれの一番美しい"瞬間"から感じ取ってみて下さい。
http://info.tendo-ply.jp/?eid=254
【会期】 2009年11月12日(木)〜
11月23日(月・祝)
【開館時間】 11:00〜20:00 会期中無休
【会場】 天童木工PLY 併設展示室 東京都世田谷区深沢4-35-7 深沢ビル2F
天童木工PLY 併設展示室
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