全2回でお送りしている、「Perrocaliente×橋本直征」。
前編では、彼らが新規で立ち上げる「Perrocaliente」ブランドについてじっくり語っていただいた。
今回の後編では、「心から満足できるものに出会えているか?」ということをテーマに、満足度と価格の関係にも触れながら、今泉氏、吉富氏、そして橋本氏が考える「デザインの力」について語っていただく。
「Perrocaliente×橋本直征」前編はこちら
今、巷では"安いもの"がどんどん増えている。身近なスーパーマーケットはもちろん、アパレルやインテリア業界も然りだ。その中で、多くのユーザーは安いものに流されがちなように思う。そんな状況を彼らはどう感じているか、まず尋ねてみた。
吉富氏:
「今、デザインとかが好きである程度は気にして選んでいるけれど、MAX欲しいというものは手が出せないから、7、8割満足できればそれを買っちゃうという人が増えている気がします」
橋本氏:
「確かに、満足していないのに安いから買ってしまうということが増えているかもしれませんね。たとえば50%しか気に入っていないんだけど、まあ600円なら買ってもいいかと。満足度を価格の安さで補填してるんだったら、それは残念なことですね」
吉富氏:
「そこそこの金額を出せば、ある程度のものが買えるということも、ひとつあると思いますね」

価格というのは、買う人の満足度を充たすというのが適正と言われる。自分が本当に買いたいと思える範囲の額か?心から満足できる額か?それが自分の中の"買いたいものを欲しいという気持ち"と合致した時に満足度へとつながる。だから価格というのは、ひとつの判断材料にはなるかもしれないが、本来、これを買おう!と決定する時の最終的なものさしではないはずなのだ。
買ったあとの満足度において、"価格の安さ"の占める割合が"心から気に入った"より上回っているのだとしたら、それはものづくりに関わる者たちにとって、少し悲しい現状ではないだろうか。
しかし、Perrocalienteメンバーの吉富氏や今泉氏は"価格の安さ"がすべてネガティブとは考えていないと話す。
吉富氏:
「デザイナーの自分としては、"価格の安さ"をポジティブに捉えていきたいと思っています。考えようによっては、今、安いものというのは、多くのユーザーの手に届きやすい存在であるということ。つまり多く求められているものということなんです。こういうユーザーの反応まで視野に入れて考えることも含めて、デザイナーの仕事なのではないかと思っています」
今泉氏:
「自分も、吉富と近い意見を持っていますね。これまで、デザインだけでなく商品開発という原価から上代設定までを管理する立場で仕事をしてきましたが、価格までトータルでひとつの商品提案なんです」
では、今回のPerrocalienteの商品価格についてはどう捉えているのだろうか?
カトラリー「Pattern」の1,200円(想定価格)を例に挙げ、再び話を続けた。
橋本氏:
「最近は、カトラリーに1,000円以上出す文化がなくなって来ているんじゃないかと思います。極端なことを言えば、100円でも買えるわけです。たとえそれが長く使えるものでなくても、とりあえず食事はできる」
100円で買うカトラリーと比べるのは、極端な話かもしれない。でも単純に「食べる」という機能を果たすカトラリーとして見ると、ユーザーにとってそれらは同じ選択肢のひとつとなる。そういう見方をすると、カトラリー1,200円は高いのだろうか。
「ちょうどいいんじゃないかと思う」と橋本氏。自分が納得して買えば、それがちょうどいい価格ということ。それについて彼はこう語る。
橋本氏:
「"とりあえず買う"じゃなくて、"納得して買う"。僕は買い物に行った時に、納得できなければ"買わない"という選択肢もありますよ」
彼は物を選ぶ時には、じっくり時間をかけて、「自分が気に入ったものかどうか?」ということを考えるという。そしてその目は、自分でも厳しいと思うと話す。実際、ペンやノート、食器など、彼の身の回りには自身が気に入った決まったものしか置いていないそうだ。
そんな彼が提案するのは、"ミニマムラグジュアリー"という考え方。数を持つのではなく、本当に自分がいいと思うものをひとつ持つということ。
その考え方は、今回のPerrocalienteの商品にもリンクする。
Perrocalienteの商品には、自らは語らないがこだわりが込められている。ボールとして、カトラリーとして申し分のない作り・品質であり、それなりの背景を持つ。それを商品自身がユーザーに語りかけ、伝えるというのがPerrocalienteというブランドのアプローチ方法だ。
すごいデザインですごいものを作っています!というアプローチは分かりやすいが、押しつけられるようなものに対して、私たちは拒否反応を起こしやすい。しかしPerrocalienteのスタンスはそうではない。だからこそ、ユーザーにとっての「自分が心から満足できるもの」に出会うきっかけになれるはず...と彼らは考えている。若干高めに価格設定をしているが、この価格で売れるだろうし、買おうと思ってもらえる自信はあるとも話す。
Perrocalienteの商品には、そんな彼らの想いが込められている。そういう想いはきっとユーザーにも伝わり、満足度にもつながっていくのではないだろうか。
「自分が本当にいいと思うもの」。皆さんは出会っているだろうか?
なかなかそんな機会は少ないよと感じている人、どこで出会うものなんだろうか?と思っている人...さまざまいらっしゃることだろう。
実際そういうものに出会えなければ、「自分が本当にいいと思うもの」は選べない。
吉富氏:
「ちょっと普段と違うものとか、いいもの、ハイセンスなものに出会いたいと思った時に足を運ぶ場所が、街のセレクトショップというより、大型のインテリア系ショップという場合が、今は一般的かと思います。デザインも値段もそれなりにちゃんとしていて、品質もそこそここだわっているんですよね。こういう"それなりにいいもの"という壁を、僕たちは越えなくてはいけないと思っています」
具体的には、より多くのユーザーにPerrocalienteの商品とどこで出会ってもらうか?
それは彼らのこれからの課題だと話す。いわゆるオシャレと言われるようなお店に限らず、どこでも目にして手にしてもらえるような展開をしていきたいと考えているそうだ。
また同時に、Perrocalienteならではの商品をさらに増やしていくことも欠かせない。
「ちょっと高いけど、気に入ったものだから買う」
そういう考えを持った人はきっとたくさんいるはずだ。そんな人たちに分かりやすい、アンテナに引っかかりやすいものを作っていく、というのが彼らの考えである。
Perrocaliente第1弾商品からも分かるように、ひと昔前の、皆さんに馴染みのあるフォーマットを今の生活に合うかたちにアレンジすることがこのブランドからの新しい提案となる。
それはどこか私たちにとって"親しみやすく"、"分かりやすい"。
コンセプトを全面に打ち出さないPerrocalienteにとって、これは重要なキーワードである。
そしてまた私たちは、"分かりやすい"ものに興味を示しやすい。これはPerrocalienteにとっての最大の強みとなることだろう。「自分が本当にいいと思うもの」にまだ出会えていない人たちへ、響くものがきっとあるはずだ。

「自分が本当にいいと思うもの」というのは、画一化されたものではなく、何かしらのこだわりや背景があるものではないだろうか。それはデザインだったり、素材だったり、その人のアンテナにピンと来たものだ。
そんなふうに、自分の使うものにこだわりを持つということは、自分の生活をじっくり考えられるということにつながる。そしてまた、そう考えられるようになることは、自身の生活の豊かさにもつながっていく。
その連鎖がすべて"デザインの力"であるというのは、少し強引かもしれない。けれども、デザイナーとして現場で働く彼らの言葉から、そんなパワーがあるのではないかと感じた。
皆さんが「自分が本当にいいと思うもの」に出会った時に、そのきっかけのひとつが"デザインの力"だったら、それはきっと彼らの想いが伝わったということなんだというふうに思いたい。
「Perrocaliente×橋本直征」前編はこちら
Perrocaliente(ペロカリエンテ)
東京都品川区西品川1-6-4
tel: 03-5759-6747
http://www.perrocali.com/
今回の取材のひとコマ
今回、取材で初顔合わせだったということもあり、冒頭はすこし皆さん硬めの表情。しかし後半になると話も盛り上がり、上写真のような場面も。アツイ話あり、楽しい場面あり、というそんな取材でした。
今回お話をうかがった、今泉さんと吉富さんについては、前編をご覧ください。
Perrocalienteからのリリース情報
記事の中でもピックアップした
「STAR BALL」、2010年6月より
ついに発売スタート!!
まずは、
・BLACK/WHITE(001)
・WHITE/WHITE(002)
・BLACK/BLACK(003)
の3色で発売開始されるそう。
発売に関する詳しい情報は、
Perrocalienteのオフィシャルサイトでチェックを!

橋本直征氏 プロフィール
赤松珠抄子氏に師事後、独立。
2004年よりインテリアスタイリストとして
主に雑誌、広告、TV-CFなどの
分野を中心に活動。
また、ミュージックビデオや
企業のディレクション等も手掛け、
2009年からは、写真制作にも取組み
その活動は多岐にわたる。
http://naoyuki-hashimoto.com/

| 【会期】 | 2010年3月1日(月)〜 3月31日(水) |
|---|---|
| 【開館時間】 | 月ー金 9:00-19:00 第1,3,5土曜 9:00-17:00 第2,4土曜・日曜休み |
| 【会場】 | HCL 堀内カラー 青山 東京都渋谷区神宮前3-41-6 |
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