以前、次の連載の企画どうしましょうか?と相談していたときに、「"写真"を取り上げたいと思っているんだけれど...」と橋本氏。詳しく話をうかがうと、彼の中で今、少しずつ"写真"との付き合い方がより密になってきているという。昨秋にも写真展を行ったほか、本業のスタイリングの仕事に合わせて撮影依頼も来るなど、写真制作の活動も増えているのだとか。
そこで今回は、「Photograpyh×橋本直征」と題して、
今彼の中で一番ホットな"Photograhy(写真)"を取り上げたいと思う。
まず前編では、彼がどうして"写真"と出会い、そして今後インテリアスタイリストとしてどう"写真"と向き合っていきたいと考えているのか。その点について彼自身の言葉で語っていただいた。
「Photography×橋本直征」後編はこちら
2004年からインテリアスタイリストとして活動しているが、独立当初まだ仕事にも恵まれず、どうすれば良いスタイリストになれるのかということを模索していた。自分の仕事は、広告、雑誌などの場合は、写真。TV-CM、PVなどは、映像。要するに最終的に何らかの写真や映像に残ることが大半であるから、スタイリストとしてカメラに対してある程度の知識は最低限、必要不可欠なものだと思った。
だから当時自分で出せるだけのお金を出して、NIKONのD70という一眼レフのデジタルカメラを購入した。当時の僕にしてみたら結構な買い物で、それから見よう見真似、独学で写真を学んでいった。幸いにも仕事をすれば、一流の写真家と同じ現場を日常的に共有できる。これは、非常にラッキーなことだった。
職業柄、日常的に最新のインテリアやデザイン、アンティークなど、本当に良いものに触れられるし、さまざまな場所にも行ける。この日常を単純に記録するという行為から一歩抜け出し、ひとつの作品として撮影してみたいという衝動にかられ、あるテーマを設けた。インテリアの象徴とも言える"椅子"を被写体に選ぶことにしたのだ。
その頃からフィルムカメラに移行し、35mmやsx-70 ポラロイドなども一時使ってみたが、現在では基本的に6×7の中盤カメラをメインに使い、「椅子の写真を撮る」ということをライフワークにしている。
2009年の11月には、100脚の椅子の写真を展示した、「Chairs」という初の個展も開催した。
決してスタイリストの気まぐれで写真を撮っている訳ではなく、写真家と呼ばれる方々をリスペクトしているし、またその方々と同様、自分なりに写真というものに対しては、真摯に向き合っているつもりだ。
最近では、割合としては少ないがスタイリングと写真の両方で、仕事をご依頼いただくケースもある。スタイリストが写真を?といった少々の戸惑いや、また批判もあると思うが、スタイリストという職業は、モノを集めてコーディネートするだけではなく、どう写真や映像に落とし込むか、いわゆるアートディレクション的なこともするものだと考えている。もちろん、シャッターは写真家が切るべきだが、たとえば、ある被写体があったとして、それを持ってくる人がスタイリストであるなら、その被写体の最も美しい部分を知っているのも、スタイリストなのかもしれないし、スタイリストであるべきだとも思うのだ。

影響を受けた写真家は、ウィリアム・エグルストンやスティーブン・シュアーなどアメリカを代表するニューカラーの時代の写真家たち。また、以前からファンだった泊 昭雄氏には、ある仕事をきっかけに自らアプローチして、数回お仕事ご一緒させていただく機会があった。撮影を通していろいろなことを見せていただき、また貴重な意見もいただいた。この経験はとても衝撃的で、超一流の仕事を目の前にし、仕事観が変わったと言っても決して過言ではない。
よく仕事仲間から「カメラマンになるの?」などと冗談半分に聞かれるが、自分としては、"インテリアスタイリスト"という職業にプライドを持ってやっているし、何よりこの仕事に魅力を感じている。今でも独立した時と同じように、もっと素敵なインテリアスタイリストになりたいと思っている。写真家に転向するというレベルの話でなく、あくまでもスタイリングの延長線上で写真を撮っているといったイメージだ。
要するに自分のスタイリングをより良く魅せたいといったスタイリストなら誰もが抱く欲求を満たそうとしているのかもしれない。ただそれは、仕事という観点から見れば、自分のエゴイズムを追及しているという非常に危険な側面も合わせ持っていることも充分認識しているつもりだ。自己完結の中で、スタイリングだけで表現しきれない部分を写真で補おうとしているなら、それも違うと思う。

今後は自分個人とではなく、スタイリストとしての自分と写真とのスタンスを考えていくべきだと感じているが、まだそんな悩みを持つほど写真の技術も発注量もごくごくわずか(笑)。ただ今言えることは、僕はあくまでもインテリアスタイリトであるということと、写真が単純に好きで写真は本当に魅力的だということ。
そして今、インテリスタイリストからのアプローチとして、写真の可能性を充分に感じている。インテリスタイリストにしか、見えないモノがそこにはあるという事実を最近、実感している。
スタイリストだからこそ引き出せる魅力、見えるモノ、そして撮れる写真がある。
そんなふうに写真を捉え向き合う彼が撮影する"写真"をぜひ皆さんにもご覧いただきたいと思う。
続く後編では、スタイリング・撮影ともに彼が行った写真と、
その撮影風景に密着取材した様子をご紹介していく。
ちなみに彼が撮影した渾身の1枚は、3/15(月)から発売中の『LiVES(ライヴス)』に掲載中!
また、昨秋に続く新たな写真展「HOTEL CHELSEA」も、東京・青山にて開催中だ。
(ともに、詳細はページ右上の枠内に記載しています)
そしてさらに最近では、暗室で写真を手焼きする機会があり、そちらの作業にもとても興味を持っているという橋本氏。ますます、彼の"写真"の活動からも目が離せなそうだ。
「Photography×橋本直征」後編はこちら
今回橋本氏がスタイリング・撮影した
写真は、『LiVES Vol.50』に掲載中!
3/15(月)より絶賛発売中の『LiVES Vol.50』、「リノベーション入門」特集内の「INTERIORS FOR NEW LIFE」というコーナーに今回橋本氏がスタイリング・撮影したカットが掲載されています。
こちらのコーナーでは、新生活に取り入れたくなるような、部屋の印象を一新するインテリアアイテム、人気の定番アイテムなどが紹介されているのだとか。
ちなみにそのアイテムのセレクト部分も橋本氏が担当されたのだそうですよ。
ぜひ書店などでチェックしてみてくださいね!
住宅&インテリアマガジン
『LiVES(ライヴズ)』
発行:株式会社第一プログレス
今回の撮影スタジオ
カメラ日和フォトスタジオ

| 【会期】 | 2010年3月1日(月)〜 3月31日(水) |
|---|---|
| 【開館時間】 | 月ー金 9:00-19:00 第1,3,5土曜 9:00-17:00 第2,4土曜・日曜休み |
| 【会場】 | HCL 堀内カラー 青山 東京都渋谷区神宮前3-41-6 |
今回撮影に使ったカメラ
今回、橋本氏が撮影に使用したのは、「Mamiya RZ 67」というカメラ。
しっかりとしたインテリアを撮るには、いいカメラなのだとか。接写に強く、寄りの写真がとてもキレイです。
(実際に撮影した写真は後編でご紹介!)
橋本直征氏 プロフィール
赤松珠抄子氏に師事後、独立。
2004年よりインテリアスタイリストとして
主に雑誌、広告、TV-CFなどの
分野を中心に活動。
また、ミュージックビデオや
企業のディレクション等も手掛け、
2009年からは、写真制作にも取組み
その活動は多岐にわたる。
http://naoyuki-hashimoto.com/
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