連載「○○×橋本直征」 澤 彰洋さん×橋本直征 interior(n)interview Vol.6

今回クローズアップするのは、橋本氏が今一番注目している"人"。「すごく人として魅力のある方です!」ということでご紹介いただいたのは、澤 彰洋さん。ブランディングディレクターとして活躍されている方のだとか。

そこで今回は、橋本氏イチオシの澤さんはどんな方なのか?また橋本氏とのつながりは?など、「インテリアンに関わる人々」とは別の視点で、"人"に迫っていきたいと思います。

interior(n)interview いつも良い刺激をもらっている存在

共通の仕事仲間の紹介で知り合い、普段からも親しくしているという澤さんと橋本氏。同じ業界の共通の知人も多く、また年齢も近いのでプライベートでも仲がよいのだそう。インタビューの際に会った時にも、お二人の様子からそれがよく伝わってきた。

そんな澤さんを紹介していただくことになったのは、橋本氏と次の企画について話していた時のこと。「ぜひ皆さんにも紹介したい"人"がいるんです」という話が出たのがきっかけだった。

「紹介したいのは、ブランディングの仕事をしている澤さん。とてもバイタリティーがあり、またフットワークも軽く、非常にモチベーションの高い方なんです。いつもいろんな話をしていますが、良い刺激をもらえる存在です」

まだ仕事を一緒にしたことはないというお二人だが、普段からもお互いの仕事の話に及ぶことがよくあるのだという。

「いつも澤さんには、どちらかというとプライベートで会う機会が多いです。だから一度、こういう場でも話してみたいなと思っていました。澤さんの手掛けている仕事に、僕自身とても興味があるので、今回はその仕事について話をうかがいながら、僕たちが普段考えていることを少し伝えられればと考えています」


ではまず"ブランディングディレクター"という澤さんの仕事の話からご紹介していきたいと思う。どういう仕事なのか?また具体的に"ブランディング"とはどういうことをするのか?について、語っていただいた。

interior(n)interview 他業界からの転身

現在、インテリア業界のブランディングに携わることが多いという澤さん。この業界での知識や人脈が豊富ということなので、もうずいぶん長いのかと思いきや、他業界から転身して今に至るのだとか。
元々は、広告業界でCMプランナーやコピーライターをしていたらしく、ある思いから、現在の「ブランディングディレクター」へ転身することになったのだそう。

「広告って、モノやサービスがまずあって、そこから関わっていくことになります。そしてクライアントが望むところに対して、アプローチしてあげるのが広告なんですよね。でも、ターゲットにストレートに届く"ブランディング"をすれば、広告はより有効な手段として活用できる。広告はあくまでもブランディングをするうえでのひとつの武器です」

その思いを実現するには、広告業界ではやり切れない。自分がやりたいのは、広告を作る前の段階から、すなわちブランド自体の立ち上げ(ブランディング)からだ。広告でできることだけでなく、幅を広げた活動をしたい。そう考え、ブランディングディレクターとなった彼が初めて取り組んだのは、偶然にもインテリア業界に関わる案件だった。

「最初に関わったのは、FRASという額縁ブランドのブランドリニューアルの時です。50年以上の歴史があるその会社の額縁の技術を、絵を際立たせるための"額"としてでなく、額が主役となるような"インテリア"に生かす商材として提案するというコンセプトで、このブランドが立ち上げられました。この時に壁面のデザインや空間のアートワークに携わってから、今ではこれが自分の強いジャンルのひとつになっています」

その後、プリザーブドフラワーを新たな層へということからスタートした「frenity」や、ラグジュアリーブランド公認、家具のアウトレット販売「DECOLT」など、彼の活動は多方面に渡る。

そんな活動の中で彼自身が強みに感じていることがあるという。それは、ブランディングをする時に、比較的新鮮な目で物事を見られるということ。
「広告業界にいた頃の視点がそのまま活きている」と彼は話す。ブランドを新しい方向に導くディレクターにとって、広い視野で物事を捉えることは不可欠である。それが新しい可能性を見出す糸口にもなるのだ。

interior(n)interview インテリアをみんなにとってもっと身近なものに...

前述のとおり、ブランディングディレクターとして、いくつかのブランドに携わっていらっしゃる澤さん。具体的にはどのようなことをしているのだろうか?

ブランディングの入り口は、これまでとは違う見せ方、ユーザーアプローチをしたい、ということが多い。その依頼を受けるところから彼の仕事はスタートする。
その際、彼がどんな時にも共通して心がけているのが、これまでの技術や素材、使い方を今までとは違うかたちで見せてあげるということ。もちろんこれは、新しいユーザーへリーチするには必要なことだ。でもただそういう見せ方をするだけでなく、そこに新しい可能性・価値を見出す仕掛けを作るということも忘れない。それにより、新たなプロダクトや仕組みが生まれるのである。

たとえば彼が携わる「frenity」というブランドの場合、出発はプリザーブドフラワーを現在のユーザー層以外のところにも広げたいということだった。元々は30〜50代の女性に人気があったというプリザーブドフラワー。その技術を生かし、ユニセックスなテイストにアレンジしたことで、プリザーブドフラワーにとって新たな世界が広がった。敢えて誰もやっていないところを狙うという、少しエッヂの効いた方法ではあるが、新たな層へ見事に届いている。

そしてブランディングコンセプトが出来上がると、それに沿ってのクリエイティブ作業に移る。この段階では、彼はディレクション業務がメイン。その時々で合うデザイナーなどクリエイターを集め、目指す完成形へ向けて、プロジェクトを調整し、管理する立場だ。

また同時に一方では、プロダクトの販売戦略を練り、販路を選定。澤さんの場合、実際の販売までを通してブランディングを考えることが多いのだそう。そこまでトータルしてやるからこそ、一貫したブランディングが実現できるのだ。
前述の「frenity」の場合は、販売場所として有名大手百貨店のメンズ向け売り場を選定している。それはこのブランドがスタートする際、これまでとは違うユーザー層へのアプローチとして、ユニセックスなテイストを提案したところにつながる。エッヂの効いた提案は、手にする人にも新鮮で伝わりやすい。だからこそ、その百貨店で売ることの意味は十分にあると彼は考えているのだという。

「また、百貨店という誰にでも目につきやすい場所を選ぶことによって、その商品がみんなの中でメジャーになるんです」

彼自身は、このプリザーブドフラワーに限らず、"インテリア"自体がもっとみんなにとって身近なものとなるように、意識を少しずつでも変えていけたら...と考えているのだそう。彼はそれについて次のように説明してくれた。

「日本では衣・食・住のうち"住"に関しては、まだまだチャンスがある分野だと思っています。"衣=ファッション"や"食"については関心が高い人も多く、流行がはっきりしていますよね。それくらいに"住"や"インテリア"も変えていけたらいいですね。そうすることで、もっとリアルに世の中の動きや流行に対して勝負できるようになると思うんです」

その想いは、ブランド公認家具のアウトレット販売「DECOLT」にも続く。

「"家具のアウトレット"と聞くと、あんまりいいイメージがなかったと思います。リサイクルとかリプロダクトとかはありましたが、車の"認定中古車"のような位置づけのものってなかったんです。でも各ブランドと組み、ブランド公認とすることで、それが実現できました」

今やアウトレットは、"衣""食"の分野でも広く人気を集めている。でも、"住"の分野では、彼の言うとおりまだ浸透していないのかもしれない。"住"については、ほかの2つに比べて大きな買い物になるからこそ、車のような認定中古車の仕組みがあれば、もっといいものが広がっていくはず。
そんな彼の想いに、今少しずつ何かが動き始めているのを感じた。

橋本氏が注目する"人"として今回ご紹介した、澤 彰洋さん。とてもビジネス的な考え方を持っていらっしゃるので、話をしていて新鮮だった。今回の話は、インテリアに限らず広く当てはまる部分があるのではないかと思う。

また橋本氏も今回の澤さんへのインタビューを通して、次のように語っている。

「衣・食・住の"住""インテリア"を盛り上げたいという思いは、僕もまったく同感で、まだまだチャンスもあると思います。澤さんが手掛けている仕事は、今後"住"を盛り上げていくためのとても大切な要素が多く含まれているように感じます。

frenityは、インテリアの新しいターゲットを獲得し、今まで興味の薄かった人たちにもアプローチ出来ている。またDECOLTに関しても、全く新しいアプローチで非常に有意義で正しい買い物ができるサイトだと思っています。

インテリアのネットショップには、エンドユーザーにとってメリットもありますが、デメリットもあります。そのデメリットに気が付いていない人も多いかもしれないですね。
DECOLTでは、正当な価格で本物のインテリアに触れることができます。だからぜひ、そういうところで一生もののインテリアを妥協せずに、プライドを持って購入して欲しい。そうすれば必ず、日常生活が豊かになっていくはずです」


話していても興味が尽きない!と橋本氏はインタビューの最後をそう締めくくっていたが、今回は"住""インテリア"に対する二人の想いをそれぞれの言葉でうかがうことができた。ブランディングディレクター、インテリアスタイリストという各々の立場で考える"インテリア"。ぜひ二人の想いの相乗効果で、私たちにとって"インテリア"が今以上に身近な存在になっていけばいいなと思っている。


さて今回ご紹介した澤さんの職業、"ブランディングディレクター"という仕事自体についても、大変興味深かったので、後日「インテリアンな人々」でも取り上げたいと考えている。そちらではいつものとおり、"ブランディングディレクター"そのものの仕事内容やエピソードなどについて、うかがっていく予定だ。


特集「インテリアンな人々/ブランディングディレクター」でも澤さんをご紹介中!

ブランディングディレクターとして活躍中! 澤 彰洋さん

DECOLT

日本初のブランド公認アウトレット家具ショッピングサイト「DECOLT」。文中でも紹介したとおり、澤さんがブランディングから販売までトータルで携わる仕事のひとつ。

素材サンプルのお取り寄せはもちろん、実際にサイト上で販売している現物をブランドのショールームで確認できるサービスやサイトに載っていない家具のアウトレットもリクエストできるサービスなど、ブランド公認だからこその企画が満載。

今回の取材のひとコマ

今回の取材のひとコマ

文中でもご紹介したとおり、プライベートでも仲が良いという澤さんと橋本氏。お二人ともリラックスした様子で取材に臨んでいただけたのではないでしょうか。

橋本直征氏 プロフィール

橋本直征氏

赤松珠抄子氏に師事後、独立。
2004年よりインテリアスタイリストとして
主に雑誌、広告、TV-CFなどの
分野を中心に活動。
また、ミュージックビデオや
企業のディレクション等も手掛け、
2009年からは、写真制作にも取組み
その活動は多岐にわたる。
http://naoyuki-hashimoto.com/

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